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第13章「AIJの闇(4)」

第13章「AIJの闇(4)」

大館から電話があった。
「話は変わるが、人気ブログのサバイバル数学者は、
 知ってる奴に似ているな。」
「大館もそう思ったか。一つ下の○○だろ。そんな気がしていたよ。」
「教職を取ってりゃ、確かにツブシは効くかもな。」
「教授に買われている程、才能はあったんだろうな。」
「しかし、数学の才能に溢れている奴は、
 今ひとつ娑婆じゃ上手くいかないケースが多いなあ。」
「自分の頭で考えることに夢中で、周囲への配慮に欠けるタイプか。」
「確かに、理系の研究者に多そうだねえ。」
「大学にいる内は、交流範囲も狭いしな。」
「昔の俺みたいに外資系で散々喧嘩したり、
 女に入れ込んだりすれば、多少は世慣れてくるんだがねえ。」
「社会に出れば、周囲に配慮しないと生きて行けないからな。
 大館も知ってる後輩の関山なんかは、学生時代は鈍くさかったが、
 アクチュアリーで外資を渡り歩いている内に、
 妙に人付き合いが上手くなったようだ。」
「あんな奴は、珍しいかもね。」
「その点メガバンクに行った奴は、苦労が多いらしい。
 関山と同期の貝塚は、文系の連中と同じ総合職だから、
 営業から事務から全てローテーションで動いていたよ。
 しかも理屈っぽいから、上の受けも良くないようで、
 今じゃ暇な部署で帰りも早いらしい。」

「外資の保険にいて思ったが、立ち回りの上手い奴は、
 いくらでもいるからねえ。理系の才能溢れた奴は、
 そいつらから良いように使われてる気がするよ。」
「学校社会も狭い社会で、人間関係で決まるようなことが多いからな。
 原理を追うタイプは生きづらいと思う。」
「これが米国だったら、企業とつるんで先進分野の研究をやって
 研究費でも調達できれば、どんどん立場が強くなるんだろうけど。」
「日本は、教授になったとたんリスクを恐れて、
 定年まで椅子にしがみつく傾向があるんじゃないか。
 変なことさえしなければ、安泰だからな。」
「そういえば、彼の最後の取引は、期近のCALL買いで
 思いきりリスクを取ってただろ。数学の専門家らしく、
 アビトラ的な発想で取引してもらいたかったね。」
「相場経験が浅いのはまだしも、EXCELのシミュレーションも、
 あまりやってないんじゃないか。」
「でも、試行錯誤して正解に行き着く能力は高いはずだし、
 今後は期待出来るんじゃないかね。」
「本人の精進次第だろうな。」
「これが、米国の一流大学だったら、年金運用の部門にスカウトして、
 ヘッジファンド運用の研究でもさせれば面白そうだが。
 オプションでも、スマイルカーブの変動の法則性とか、
 テールリスク分析とか、対数正規に置き換わる統計手法とか、
 研究余地はあるからね。」

「米国の大学は、金融分野への理解が極めて高いからな。」
「日本は、せいぜい大蔵か銀行OBが基本的な講義をする位かねえ。」
「純粋に運用で実績を上げた人物が、現実の運用について
 講義するケースはないんじゃないか。」
「国民の大部分が、確定利回り商品を嗜好する位だからね。
 元々、金を増やすことは、邪道のような社会性はあるしなあ。」
「汗水たらして働け...か。」
「しかし、頭を使わずに体を使うだけなら、
 何のために学問するのかということにもなるねえ。
 それに資金運用の知識がないと、確定拠出年金の分散投資すら、
 自分で決められないことにもなる。」
「免疫がないから、口の上手いやつにかかると、
 コロッと騙されたりするんだよ。」
確かに日本人は、確定利回りという言葉に弱く、
専門用語を並べられて、営業トークで"大丈夫です!"といわれると、
簡単に信じるところがある。
かつて、サブプライムローンで組成されたCDOファンドの格付が
AAAだったりすると、簡単に飛びついたのも日本の投資家だった。
しかも、地方の機関投資家ほど、言いくるめられ易いようだ。
「そういった連中が、AIJに騙されている...」
少なくとも学校教育の中で、金融市場はどのようなものか、
基礎知識を教える場があっても良いのではないだろうか、と思う。

世界中が注目していた昨夜のスペイン中長期国債入札は、
無難な結果となった。
しかし、入札を好感して上昇で始まったユーロ圏株価は、
結局尻すぼみに終わり、欧州株は揃ってマイナスで引けた。
プラスで始まった米国株も、決算を好感して上げた銘柄もあったが、
結局は売られて終了。どうも決算発表は、
利食い売りのタイミングにされているようだ。
上値が重くなると心配されるのは、例年5月に下げることだ。
主要ヘッジファンドの半期決算にあたり、
特に年初から上げた株式ファンドは、一旦利益確定売りが出やすい。
解約の通告は、通常1ヶ月以上前なので、
4月後半からポジションの軽減が始まるわけだ。
過去3年間を見ても、一時的な調整を余儀なくされている。
    2011.5  2010.5  2009.5
高値 10004(5/2) 11057(4/30) 9452(5/11)
安値 9423(5/25) 9460(5/25) 9039(5/18)
今年は来週日銀の追加緩和もありそうで、予想も難しいところだろう。
政治からの圧力も相当強いようだが、
仲原は「やるとしても、5兆円程度の小幅の増額に留まる...」と見る。
FRB、ECBがどう動くか見ない内は、日銀だけ先走って
大規模な追加緩和を実施する可能性は、皆無に近いと思わざるを得ない。
とすれば、日経の反応も限定的で、
「格好の利食い売りのタイミングになるな...」


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by nkmrnkmr | 2012-04-20 10:21 | 雑感
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