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第16章「リセッション前夜(2)」

注目された先週末の米国雇用統計は、
新規就業者数16万人台と、予想以上の数値となった。
これを受けて相場は急伸、一段と戻りを試す展開となった。
懸念されたスペイン、イタリアも前日の急落を打ち消すほどの上昇、
スペイン10年債利回りも再度7%を割り込んだ。
「しかし、どこまで戻れるか...」
今週は8/8-9の日銀政策決定会合を控えていた。
大勢は追加緩和見送りだが、少なくなったETF金額枠拡大や
外債購入への期待も残るようだ。
そのためか、先物やcallの売り手は、警戒感も強いようだ。
それが現れたのが木曜日の急騰である。
安心感のあった8C90売りが、結構溜まっていたようで、
買戻しを余儀なくされた参加者も多かったらしい。
9C、10Cの外側のIVも、一時的に大きく反応していた。
夏場の閑散時には、値動きが軽くなるケースもある。
2008年夏、リーマン破綻の1ヶ月前だが、
相場は13000円前後で膠着していた。
動かないと見て、軽い気持ちでカバード・コールを作ったのだが、
2日後から相場は13500円付近まで上昇。
高値で切らされた記憶がある。
特に大きな買い材料はないのだが、
一時的な需給の振れや、便乗する短期筋もいたのだろう。
率にしてみると、13500/13000-1=3.85%。
今回の9000/8700=3.45%でも十分市場を驚かせたようだ。

日付 始値 高値 安値 終値
2008/8/4 13,083 13,114 12,910 12,933
2008/8/5 12,957 13,050 12,893 12,915
2008/8/6 13,059 13,296 13,049 13,255
2008/8/7 13,258 13,258 13,034 13,125
2008/8/8 13,027 13,260 12,963 13,168
2008/8/11 13,259 13,469 13,259 13,431
2008/8/12 13,398 13,420 13,276 13,304
2008/8/13 13,206 13,206 12,953 13,023
2008/8/14 12,943 13,091 12,927 12,957
2008/8/15 12,992 13,030 12,952 13,019
2008/8/18 12,971 13,270 12,934 13,165
2008/8/19 13,017 13,017 12,782 12,865
ただし、2008年夏は一時的に急騰した後に、
元の位置まで下げてきた。
その後の展開を考えると、最後の売り時となったようだ。
この2008年8月以降、既に4年が経過したが、
戻り高値は2010年春の11000円台前半でしかない。
「9000円付近も、売り時なのだろうか...」

米国VIX指数は15%前半まで落ちてきた。
決算発表は一巡したが、業績が上振れする銘柄は
限られているという状況だ。
少なくとも、米国株は上値を追う状況にはなさそうだ。
しかし、9月FOMCでのQE3への期待が、
株価を徐々に押し上げてきた。
また、ECB総裁の強気の姿勢が、欧州株やユーロ売り手の
買戻しを誘発させてきた。
大館に聞いてみると、
「気になるのは、日経の今期予想EPSが700円台後半から、
 740円程度に落ちているんだ。」
「1Q決算では、失望売りも多かったからな。」
「今の為替水準が続くと、社内レートがドル円80円、
 ユーロ円100円の会社は下方修正が確実だね。 更には、
 ユーロ問題は解決しないよ。国債をECBやEMSで買い支えても、
 今年のスペインのGDPはマイナスのままだね。」
「失業率は20%台で高止まりのままだろうな。
 若年になると50%か、これもひどいな。」
「政権与党は、次の選挙で交代だろうね。
 仏やギリシャのように、左翼が大躍進するんじゃないか。」
「そうなれば、また5月のように株安だろうな。」
「目先、株価は強そうだが、万一9500円を超えることがあれば、
 9割方売ろうかと思っているよ。」
「俺も、バラ色の展開はないと見ているんだが...
 市場関係者や個人投資家は、願望で動いているようだが。」

「目先は、その願望通りかもしれないね。
 WTIも93ドルに上昇したきたし、
 リスク指標の一つ豪ドル円も83円まで戻ってきた。」
「売った連中の買戻しだろうな。」
しかし、その一方で、米10年国債が1.5%割れから
1.7%まで上昇してきた。株買い・債券売りだろうが、
株高を伴う米金利上昇は、典型的なドル高要因である。
QE3期待がドルの上値を重くするのは確かだが、
目先はショートカバーも巻き込んで、
ドル円80円程度は想定すべきかもしれない。
「そうなれば、日経平均は9200円程度まで見ておくか...」
9C900売り絡みのスプレッドが数本残っているが、
タイミングを見て落とす方が良いだろう。
期先IVが高い流れなので、通常のカレンダー系は、
今一つやる気が起きない。大外の10CあたりのIVが高いのだが、
これは台湾の石黒が専門だろう。
スカイプで聞いてみた。
「2/14以降もそうだったが、大外callはよほどのことがない限り、
 IV20%は売りで良いんじゃないか。」
「勢いが止まると、callのIVは直ぐ落ちますからね。」
「10C105以上は、全部売りでも良さそうだな。
 今月、万一9500円を超えてきても、
 9Cを絡めれば逃げ切れるんじゃないか。
「今月の可能性は低そうですが...
 来月は、FOMCと日銀次第で有り得ますね。」
「日銀が追加緩和しなくても、ここまで強いんだから、
 目先は下がらないんだろうな。」


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by nkmrnkmr | 2012-08-10 11:33 | オプション小説
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