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第16章「リセッション前夜(4)」

今週は9200円前後の、高値圏もみ合いで始まった。
注目された大規模日本株ファンドに絡んだ先物売りも見られたが、
アルゴリズムと思われる買いが吸収したようだ。
結果的に、野村AMの大規模ファンドは成功したといえるだろう。
先週の薄い商いの中、先回りした短期筋の買いを誘い、
相場を一段高に持っていくことができた。
「しかし、春から動きすぎるのではないか...」
2/14以降、1000円以上のIVを伴った急上昇、
その後の2000円幅の下落、9100円台への1000円近くの急反発。
更に8500円割れへの急落と、再度の9200円への上昇。
誰もが”振り回されて、やりづらい。”と感じていることだろう。
日本市場の外人シェアは6-7割であり、
大口の先物売買に、振り回されやすい構図となっている。
先週は、多くの会社が夏休みでもあり、
今週も株価上昇の割に、商いは盛り上がらない。
火曜日の株式売買代金は、7000億円割れという低さだった。
しかし、相場は先物中心に堅調で、
夜間では寄付きから上昇した米国株の影響もあり、
10250円まで買われる場面もあった。
「この薄い出来高で、9500円あたりまで突き抜けるのか...」
相場関係者の間では、にわかに強気筋が増えてきたようだが、
仲原としては半信半疑だった。

水曜日、シャープの希望退職3000人の記事が出ていた。
昔こそ、二流電機メーカーの代表のような存在だった同社だが、
液晶TV、太陽パネルといった先端分野への進出に成功し、
日本を代表する企業にまで成長した。
しかし、液晶TV、太陽パネルは、将来のコモディティ化が
避けられない商品だったのだろう。
日本メーカーだけでなく、韓国・台湾・中国メーカーが、
低コストで大量生産を始めると、利益を出すことが難しくなった。
シャープの亀山工場が稼動した時が、同社の絶頂期だったといえる。
全て、自社で生産する垂直統合型モデルは、
2000年代までは機能したが、技術差は徐々になくなり、
円高、割高な人件費・コストがのしかかるようになった。
「製品さえ良ければ、少しぐらい高くても売れるはずだ!」
これは日本メーカーが陥っているトラップだろう。
今や液晶TVは、店頭でメーカーの格差を肉眼では確認しづらい。
米国の中・低所得層や発展途上国の消費者は、
日本メーカーかどうか等気にしない。
見た目で大して変わらなければ、安い製品を買うだろう。
「シャープは、なぜ勝ち組になれなかったのか?」
この答えは、ライバルのサムスンの成功事例を見ればよく分かる。
技術は日本を参考、賃金の安い国での大規模生産、
厚かましいくらいの販売戦略、あたりだろう。

シャープの業績(百万円)
決算期 営業収益 営業利益 純利益 EPS(円)
2007.3 3127771 186531 101717 93.3
2008.3 3417736 183692 101922 93.2
2009.3 2847227 -55481 -125815 -
2010.3 2755948 51903  4397 4.0
2011.3 3021973 78896 19401 17.6
2012.3 2455850 -37552 -376076 -
2013.3(予)2700000 20000 -30000 -
業績推移を見ると、2009.3月期が節目であることが一目瞭然だ。
2008年に起こったリーマンショックは、
円の急騰と需要の激減をもたらした。
シャープの収益は5割以上が海外である。
円高と需要低下による収益激減、更にはウオン安(米ドルリンクに近い)
による韓国メーカーの台頭等、全てがシャープにとって逆風となった。
2007、2008年がシャープの絶頂期であっただろう。
”俺達の会社は、世界一の液晶メーカーだ!”
という驕りも、少なからずあったと思われる。
実際は、円安バブルに乗って、アジア勢を凌駕していただけの
不安定な立場に過ぎなかった。

金曜日の朝方、相場は9050円付近の動きとなっている。
昨日ESでは、一時9200円をつけるほどの勢いがあったが、
欧州株・ユーロが下落に転じてからは、100円以上も下がってきた。
ギリシャは、財政緊縮案の緩和を希望しているが、
独を始めとして簡単に受け入れるとは言い難く、
再度国内が混乱するケースもあろう。
スペイン国債の買い入れにしても具体的に詰まっておらず、
9月のオランダ選挙では与党の敗北が確実視される。
「やはり、9月は鬼門だな...」
頼みの綱は米国のQE3と、その後ほぼ確実に実施されそうな
日銀の追加緩和と為替介入だろう。
規模によっては、ショート筋が全て吹き飛ばされる位の
インパクトがあるかも知れない。
欧州不安で売り込まれるとしても、8500円以下で
CALLや先物を売ると、万一の時に致命傷にもなりかねない。
「10Pバタフライや12P大外の短距離PUTバックくらいか...」
CALL側を見ると、期先の外側のIVが相対的に高い状態が続く。
「デルタ調整は、先物売りではなくて、11Cか12C外側の
 スプレッドが良いようだ...」
これは大館も同じ意見だった。
「ガンマ・ショート系をミニ先物でデルタ調整していたら、
 ここ数日は間違いなくやられていたよ。」
「9250円を突破する気配もあったが、
 この売買金額では抜けるのは無理か...」
「9月に材料が多いので、投資家も大きなリスクを
 取りづらいんじゃないか。」
「台湾の石黒さんは、10Cの10500以上は売りと言ってたが、
 結局そうなったな。」
「やはり、上昇が一服すると、CALLは剥げるのも早いよ。」


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by nkmrnkmr | 2012-08-24 10:19 | オプション小説
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