第3章「マネー狂乱(1)」
4月22日の週を迎えた。いよいよ今週から、 日本企業の2013.3月期本決算の発表が本格化する。 前期(2012.4~2013.3)は、あまり良くない企業もあるだろう。 しかし、昨年11月からの円安・株高、不動産活況、公共事業拡大から、 今期は多くの企業が、大幅な増収増益となる見通しだ。 株価が前のめりで吹っ飛んでいるのが金融・不動産関連。 証券株は軒並み暴騰、最大手の野村HDは、 安値の200円台前半から3倍以上となった。 不動産関連でも、REIT事業が主力のケネディクスは、 2012年の安値7330円から、何と10倍の暴騰である。 REITは、オフィスやマンションを丸ごと購入、賃貸料から運営費用を 差し引いた利益を投資家に分配するビジネス・モデルである。 2012年は、6%以上の分配金利回りも存在していたが、 アベノミクス後のREIT急騰で、今や3-4%台の利回りが大部分だ。 利益の源泉は賃貸料だが、その賃貸料が上昇すれば、 当然利回りは高くなる。また、高くなった物件を売却すれば、 売却利益が利回りを押し上げる。サブプライムショック前、 物件の売却利益で分配金利回りをかさ上げしたケースもあったが、 今後も徐々に増加するだろう。 REIT投資にあたっては中身の吟味、つまり決算短信や 有価証券報告書の精査が欠かせないと思われる。 また、過去のREIT合併時に発生した、 負ののれんの活用にも気をつけておきたい。 要は、実力以上の分配金支払い(タコ配に似ているが)も 可能になったことで、負ののれんを使い切れば、 分配金を下げざるを得ないことになる。 REIT利回り一覧(4/26ベース) 3227MIDリート投資法人5.02% 3278ケネディクスR投資法人4.90% 8979スターツプロシード投資法人4.50% 8975いちご不動産投資法人4.48% 8956プレミア投資法人4.43% 3281GLP投資法人4.35% 3282コンフォリアR投資法人4.32% 8973積水ハウス・SI 投資法人4.26% 3263大和ハウスリート投資法人4.21% 8985ジャパン・ホテル・リート投資法人4.12% 利回りトップのMIDリートは、バックが関西電力。 賃料減額、テナント撤退、改修費用等が嫌気され、 分配金は減額が見込まれているようだ。 GLP、コンフォリアは新規上場組だ。 利回り上位には、多少の懸念事項もあるものの、 機関投資家は長期金利の低迷で、利回りの見込めるREITに 資金を振り向けざるを得ない事情もありそうだ。 大館の元に、元証券マンの仲原から電話がかかってきた。 「北朝鮮は、何かやろうとしているみたいだが......」 「何って。ミサイルをどこかに打ち込むのかい」 「交流のある国経由で、密かに投資を拡大するという話だ......」 「ミサイル撃つ前に、日経のPUTを大量に買うんじゃないだろうね」 「ある外資系の話だと、タックスヘイブンにある中東系の会社から、 日経先物売りやPUT買いが出てるらしい」 「そこと北とつながりでもあるのかい」 「その国は、裏で武器取引をしてるって話だからな」 「嫌な話だね......」 北の首脳に金融に詳しい人間がいれば、何かをやる前に、 株価が暴落すると莫大な利益が出る取引を行っても不思議はない。 ポジションを持った後に、ぶっ放せば良い訳である。 「北とつながりのある中東系なら、まだ分かりやすいが......」 中国やマカオの投資会社に北が出資して、 タックスヘイブンに拠点を持ち、外資系を通じて取引すれば、 そう簡単には分からない。それでも、日本の市場であれば、 取引参加の証券会社を通じて、何らかの規制もあり得るのだろうが、 シンガポール市場ならお手上げだろう。 「その逆も、あり得るか......」 南北が平和になる直前、ソウルの不動産や株を大量に購入すれば、 莫大な利益となるのは間違いないだろう。 もっとも、後で問題になりそうなだけに、 中国系やタックスヘイブンの投資会社を通じて、 資金の出所を不透明にする必要があるのかもしれないが...... 4月の最終週に入った。 先物では一時14000円を超える場面もあったものの、 ドル円は100円を超えられず、GW谷間は利益確定売りに押されている。 先週は日銀によるETF買いが話題となった。 4/4以降、TOPIXのETF買いを調べてみた。 日付 ETF買 TOPIX安値の前日比 4/26 216 -1.06% 4/16 216 -2.45% 4/15 216 -1.62% 4/4 331 -1.96% 一見、日中の安値が前日比-1%以上でETF買いが出るように見えるが、 4/26の安値は引け近くであり、前場は1%も下落していない。 4/4以降、明らかにETF買いのスタンスが変化したようだ。 年初から4月末までのETFの買いは、合計2305億円となった。 年間で1兆円増額する訳だから、残りは6695億円。 日経平均先物換算では4万8千枚程度に該当する。 1ヶ月あたりでは6千枚強。 急落する場面では、買い入れを300億円台に増額したり、 年後半の政策決定会合で、2-3千億円積み増す可能性もあるだろう。 海外発の売り材料は、年内に1度くらい出そうだが、 日銀による下支えで、日本株のパフォーマンスは相対的に良さそうだ。 <免責に関して> 当掲載内容には十分注意を払っておりますが、 内容の誤り及び情報に基づいて被ったいかなるトラブル、 損失、損害については、当方は一切の責任を負いません。 ご利用は、自己の責任において行われるものとし、 当方は一切の責任を負いません。 なお、掲載した情報は予告なく変更、中断、中止することがあります。 予めご了承ください。 にほんブログ村
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| 2013-05-02 11:21
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