派遣トレーダー2015(3)

週末は3連休だった。
年末年始からまだ1週間だが、やはり5日間も働くと疲れが残る。
外は依然として雪混じりで異様に寒い。
以前のようにアパートの近くに喫茶店もないし、
土曜日の昼に駅の近くの寂れた食堂に行った。
うどんや蕎麦程度で大したものはないが、
新聞が何紙かおいてあった。経済面では原油下落の記事が多い。
急落の原因はOPECが減産しなかったことだが、
需給が悪いことも重要だ。
かつて2008年に150ドル付近まで上昇したが、
リーマンショック後に一時40ドル割れまで売り込まれた。
今回は当時よりファンド勢の多大な買いポジションが溜まっている。
うまくない蕎麦をすすりながら、
「これは、家に帰って調べてみる必要があるな」
他では、フランスのテロに関する記事が多い。
仏はかつてアフリカや中東に植民地を持ち、
今でも中央アフリカ等かつての植民地で
政治的に不安定な国に軍隊を派遣している。
当然、政治的な係わりも多く、
亡命政権の多くは仏国内に拠点を持っている。
当たり前だが外人(特にアフリカ系)も多い。
日本はフランスといえば優雅な文化国を想像するが、
実際は警備体制も厳しく興ざめしたという話も聞いたことがある。
平和ボケした日本人には、かなりギャップを感じる国の一つだ。
ユーロ内では独に続く経済大国だが、失業率は10%を超えている。
アフリカ系や中東系に限れば、もっと失業者は多いはずだ。
不満を持つ若者が社会に絶望して、
イスラム国に加わる気持ちは分からないでもない。

冷たい風の吹く中でアパートに戻った。
早速、原油先物の建玉動向を調べることにした。
NY原油先物の大口投機玉は昨年6月末に約45万枚のピークを付け、
その時100ドル以上の高値をつけている。
そこから一方的に価格と買越し枚数が双方下がり続けていた。
今では価格は50ドル割れで、買越しは28万枚程度だ。
しかし、2008年のリーマンショック前よりも建玉は多く、
いずれ戻るとしても売りをこなしながらだろう。
「これは当分戻らないか......」
グローバルマクロ型のヘッジファンドも、気が気ではないだろう。
1年前は、独国債買vs南欧国債売、中国株売りvs東南アジア買い、
資源買い、というポジションがまだ主流だったと思う。
11月末、12月末といった決算期を経て
ファンドのパフォーマンスは悪いものも少なくなさそうだ。
とすれば、パフォーマンスに神経質な投資家は運用成績を見て、
次回改善しなければ解約売りを出すことになる。
それが12月から1月にかけてのポジション修正伴う南欧国債買い、
中国株買い、原油売りにつながった面もありそうだ。
「奴等がポジションを修正した後が面白そうか......」
1月後半から買って、売りは決算の出始める4月末、
と考えるのが妥当かもしれない。
週末を使って、バリュー株を調べてみた。
低PBR、低PERは2012年に比べてさすがに少なくなっている。
PBRが1以下、PERが10以下の銘柄は、
不動産系や資源系等の先行きにやや不安のある業種が多い。

総合商社あたりも、PERが低くて魅力はありそうだが、
世界中で資源投資を行っていてこの資源安の流れでは、
大きな特損を食らう可能性がある。
原油が反発すれば、JX等のエネルギー系も良いのだろうが、
当面原油が安い状態が続きそうな予感がする。
「なかなか、難しいな......」
それでも割安と思える中小型株を2-3選び、
週明けに注文を出すことにした。
問題はオプション市場だ。指数は売られてはいるが、
来期予想EPSを考えると、反発に転じる可能性は高い。
しかし、翌週は日銀、ECB、ギリシャ選挙と材料も多い。
ポジションを傾けるのは、その次の週からだろう。
13日の週は一進一退が続いた。値幅も大きく、
デルタを傾けるのはタイミングも重要だった。
そして市場を驚かせる出来事が起きた。
スイス中銀のユーロリンク廃止である。
その発表は突然だった。
スイスフランは対ユーロで3割以上の暴騰、市場は大混乱となった。
SF売りのポジションを持っていたファンドやFX個人投資家の
ロスカットが殺到、業者には大きな損失を抱え込むところも出た。
FXCMは2億ドル、米シティは1.5億ドルの損失と発表されている。
日本ではマネックスが1億円台の損失を計上した程度だが、
ニュージーランドでは破綻した業者も出た。
これは低金利のSF売りと高金利のNZD買いが流行していたためか。
ニュースを追っていくと、ユーロ圏では
低金利のSF建で住宅ローンを組むケースも多いらしい。
これだとSFが対ユーロで3割上昇すれば、
返済金が3割増しになってしまう。

「かつてのアイスランドと同じじゃないですか......」
前の職場の同僚でFX好きの若造からメールが来た。
アイスランドは2008年の金融危機の際、
国内銀行の巨額投資が災いしてデフォルトの危機に見舞われた。
アイスランドクローナは対ドルで半値以下、対ユーロでも暴落。
当時のアイスランドでは国内の高金利を嫌い、
ユーロ建で住宅ローンを組むことが流行、大問題に発展した。
「安易に金利に魅せられるからだ......」
金融に詳しい田村がよくそう言っていた。
「低金利で借りて高金利で運用するなんて投機筋だけだ」
リスクオンの時期ならば、利回りの高い投資先を求めて
高金利通貨買いが流行する。
しかし、高金利通貨は問題のある国も多い。
高金利政策で投資資金を集めていたアイスランド、
高インフレのブラジル・トルコ・南ア等だ。
世界的なリスクオフや国内事情が発生すれば、
叩き売られるリスクもはらむ。
「よほどのタイミングじゃないと買えねえな......」
その週はスイスフランの問題も起きたが、
ユーロリンク廃止と同時に利下げも行ったため、
欧州株は大きく上昇することになった。
現場の仕事は適当に済ませ、夜は銘柄探しや分析に使った。
オプション市場では、年明けの急落や来週の日銀会合、
ECB、ギリシャ選挙もありOP売りに傾けづらい。
が、どうしても売るとすれば大外の3Cか。
少なくとも、追加緩和は委員が1人交代する春以降で、
3月SQまでに20000円に達する可能性は限りなくゼロに近い。


<免責に関して>
当掲載内容には十分注意を払っておりますが、
内容の誤り及び情報に基づいて被ったいかなるトラブル、
損失、損害については、当方は一切の責任を負いません。
ご利用は、自己の責任において行われるものとし、
当方は一切の責任を負いません。
なお、掲載した情報は予告なく変更、中断、中止することがあります。
予めご了承ください。


にほんブログ村 先物取引ブログ 日経225オプションへ

にほんブログ村
[PR]
by nkmrnkmr | 2015-01-23 10:33 | オプション小説
<< 雑感~ギリシャ選挙は急進左派が... 雑感~ECBへの期待が強すぎる... >>