2月9日の週に入った。
週末の米国1月の雇用統計は、予想以上の強い数字となった。 11月と12月分も大幅な上昇修正で、 誰もが米国雇用情勢の強さを思い知ったようだ。 となれば、利上げの前倒し観測が出てくるのは避けられない。 株式市場も引けが近づくに連れて売りが出てきた。 NYダウは結局、前日比マイナスでの引けとなった。 しかし為替の方は素直にドル高に振れた。 日経平均も今週は18000円に近づいてきた。 「悪材料はあるが......」 ギリシャ問題、ウクライナ、イスラム国と懸念材料はあるにせよ、 大勢には影響がないということか。 あるいは、ショート筋の買戻しが優勢ということであろう。 「来期の業績予想は、強気が多いみたいですね......」 最近やけに株に詳しくなった三浦が言った。 「今のところは、今期の日経平均EPSは1100円強か。 来期に10%近い増益を織り込むとするとEPSは1200円だ。 PERが15倍として18000円か」 まあ、そんなところだろう。 18000円は特に割高でもなさそうだ。 「でも2007年の高値を本当に抜けますかね」 「相場を動かしているのは、外人と日銀・年金だからな。 奴等が買ってくれば、節目なんか目じゃないさ」 「外人は、先物も大口で売買するみたいですね。 手口を見てそう思います」 「そうだな。今は某欧州系のシェアが極端に高いしな」 「こんな奴等が大量に注文を出せば、どちらにも動きますね」 「そうだ。特に欧州系A社には要注意だよ」 「A社は時々、数千枚単位で傾けますね」 週末が近づくに連れて、日経平均も徐々に上がってきた。 翌週からは、ギリシャ問題が熱を帯びてくる。 左翼政権は、できれば債務を帳消しにして、 公務員の復職や年金の増額を目論んでいる。 「そんな虫のいい話が通るのか......」 世界中の誰もがそう思っているが、当事者は本気だ。 本気でそう言わなければ、選挙では勝てなかっただろう。 国民も本音は無理筋と分かっているが、 あわよくば独の譲歩を引き出せるかもしれないと、 期待しているのか。 2月10日の夜は、立石のおやじから飯に誘われた。 三浦も誘うと「ちょっと、予定がありますので」とかわされた。 2人で例の小汚い居酒屋に向かった。 立石の仮設暮らしも3年以上になった。 「他に移っても、仕事や家があるわけじゃあないしな......」 当分はここに留まるつもりらしい。 1時間程度飲み食いした後に、アパートに戻ろうと歩いていると、 三浦が背の高い痩せた男と歩いているのが見えた。 (めずらしいな) この辺に知り合いがいるとは聞いていなかった。 2人は駅に向かい、別れ際に三浦が頭を下げるのが見えた。 (何者だろうか......) 休み明けの2月12日、ドル円が120円を突破したことで、 日経平均は18000円に達する動きとなった。 円安&日経平均買いはいつもの光景だが、 こういう場合は必ず裏にファンドの動きがある。 昨年来、グローバルマクロ型ファンドの運用成績は必ずしも良くない。 更に原油安で痛手を被ったファンドも多く、 どこかで巻き返しを図りたいところか。 三浦に10日の夜のことを聞いてみた。 「前から知ってる人で、実は借金があって......」 「その人から借りているのかい」 「ええ。でも意外と自分の事を買ってくれてるようで、 一緒に仕事をやらないかと誘われてるんです」 「仕事って?」 「資産運用の手伝いです」 「金融機関の人でもなさそうだが......」 「ええ......実はサラ金の裏の運用部門みたいです」 「ちょっと危ない仕事じゃ......」 「ほとんど、大丈夫らしいですが」 「ほとんど、ってのも気になるな」 「自分の経歴じゃ真っ当な金融機関の運用は絶対無理ですし、 やるのも手かなって、思ってます」 「こんな作業より、役に立つかもな」 甘くはないだろうが、運用の仕事で得るものもあるだろう。 この男自身で決めることだ。 「で、いつから始めるんだい」 「もう少し考えて見ますけど、4月からにしようかと......」 「本業でやるなら、オプションなんかも勉強するといいよ」 「ええ、先物やオプションも準備するつもりです」 「三浦がいなくなると、寂しくなるな」 「神谷さんはいつまで働くんですか」 「俺は、しばらく続くな」 「そうですか」 「昼間体を動かして、夕方以降に取引するのが、性に合ってるよ」 「その人が、もっと人を増やしたいとも言ってました」 「俺はいいよ。運用で人に指図されるのは好きじゃないから」 サラ金の裏で、どういう運用するのかは知らないが、 金融機関系のファンドマネージャーのように、 ベンチマークのTOPIX以上の利益率を目指すのだろうか。 日経平均は週末の13日にかけて、 18000円に突っかけたが弾き返された。 外人買いと個人の売りの攻防だろう。 当面は、2007年の高値18250円レベルが目標だが、 欧州情勢が落ち着いてくればあっさり抜ける可能性もありそうだ。 ユーロ財務相会合ではギリシャ問題が焦点となる。 同国政権としては、国民に公約した以上、 財政規律の枠組みを変える必要がある。 ユーロ側はギリシャの放漫財政が復活することへの危惧がある。 落とし所が見つかればいいが、 ギリシャが余りに強く主張するようだと、 独が拒否する可能性もある。 としても最終決着までには時間がかかりそうだ。 前政権でも、数ヶ月かかった。 その間、相場は一喜一憂するのだろう。 オプションは13日にSQを迎えた。 「ようやく、5月限が取引できるか......」 権利行使価格が125円刻みになって以来、 期先の板が極端に減った。マーケットメイクしていた外資系が、 銘柄の多さに根を上げたのか。 SQの週明け後は期近が売られ、 IVの比較的低い期先が買われるケースがある。 早速、4月売りと5月買いでポジションを組んでみた。 万一の急変動に備えて、3月クズでヘッジをした。 問題は現物株の方だった。 昔のようなユニクロトレードが復活すると、 バリュー系が放置されて非常にやりづらくなる。 今の相場は、上昇株と下落株が妙に入り乱れていて、 動きをつかむのが難しい。 「しかし、割安を丁寧に拾えば、大丈夫だろう」 低PBR、低PER中心に、買い増しを続けた。 <免責に関して> 当掲載内容には十分注意を払っておりますが、 内容の誤り及び情報に基づいて被ったいかなるトラブル、 損失、損害については、当方は一切の責任を負いません。 ご利用は、自己の責任において行われるものとし、 当方は一切の責任を負いません。 なお、掲載した情報は予告なく変更、中断、中止することがあります。 予めご了承ください。 にほんブログ村
by nkmrnkmr
| 2015-02-20 11:41
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