派遣トレーダー2015(8)

2月16日の週は18000円台からの開始となった。
ギリシャ問題が注目されているが、
つなぎ融資が実施されるのかどうか、週末まで分からない。
しかし相場は、楽観ムードに溢れており、
欧州株は堅調で南欧国債利回りも低いままである。
ギリシャのユーロ離脱が現実化しても、
スキームはできているとの指摘もある。
「といっても、揺さぶられるはず......」
ギリシャがいずれユーロを離脱するとの観測も根強い。
既にいくつかの中央銀行は、
来るべき日に備えた準備を始めているようだ。
そんな不安をよそに、市場は世界的に株価が堅調だった。
特に、量的緩和に入ったユーロ諸国が顕著で
DAX指数は11000近くまで上昇した。
米国はギリシャを懸念しており、
ユーロ側に「上手く収めるように」と伝えているらしい。
このあたりも市場関係者に伝わっているのだろう。
大手ファンドは地獄耳の連中も手なずけている。
米国もこんなギリシャ問題で、
利上げを前にした微妙な相場環境を悪化させたくない。
米国は日本よりはるかに株価に敏感だ。
個人資産に占めるウエイトは高く、
企業経営者のボーナスもストックオプションが基本だ。
株価を下げるような政策をとれば、選挙結果に響いてくる。
ただでさえ現政権の民主党は劣勢だ。
政府もFRBも、株価を下げずにどう利上げ局面を迎えるのか、
打つ手の難しい時期に来ている。
強気ムードが支配する中で、三浦もやや戸惑っているらしい。
「ギリシャやウクライナは関係ないんですかね......」

水曜日は立石のおやじと、周辺の地域に土砂を運んだ。
もう何度も通った道路だが海岸線の至る所に、
津波の残骸が残っていた。
「この先の町はなあ、俺の知り合いがいたんだよ」
「どんな方ですか」
「そいつはなあ、責任感が強い奴さ。
 地震の後に、奥さんとさっさと逃げりゃいいのに、
 近所の年寄りを一緒に連れ出そうとしたんだ」
「地震が来て津波まで、30分程度ですよね」
「ああ。どうしても動かねえ婆さんが、やっと腰を上げた時、
 津波が来たんだ」
「亡くなったんですか」
「そいつは近くのビルに上って何とか助かったが、
 婆さんを連れた奥さんが津波に呑まれたんだ......」
「やりきれないでしょうね......」
「奴は言ってたさ。かみさんには可哀想なことをしたが、
 俺はこれを背負って生きていくしかねえんだ、と」
「最近は会ってないんですか」
「まだ生きてると思うが、どこにいるか知れねえ......」
地震の後、急いで逃げた人が多い中で、
近所の人を何とか逃がそうと、
危険を顧みずに格闘した人もいたのは事実だ。
「世の中は、身勝手な奴が多いけどさあ、
 奴のような人間が減っていくのは寂しいことだな......」
「そうですね」
人間は忘れ易い生き物なのだろう。
明治、昭和と二度の大津波にのまれながら、
三陸の海岸線はいつのまにか建物が密集した。
避難場所に指定された場所も、いくつかは大津波に飲み込まれた。
「地震が起これば、30分で大津波が来る!」
年寄りからは何度も聞かされたはずだが、
「ここまでは来ないだろう......」と安心しきったケースもある。

「俺の知人が言ってたんですが、
 周囲と同じ行動を取って安心する態度は、
 日本人の欠点らしいですね」
そう、金融に詳しい田村がよく言ってた。
「それが安心だからじぇねえか」
「立石さんもそう思いますか」
「俺らのように頭の悪いものは、誰かに指示されなけりゃ、
 どうしたら良いか分からねえよ」
田村の言葉には続きがあった。
「だが、周囲と同じことをしてたら、
 相場も金儲けも上手くいかないさ」
相場が一方的に動くなら、それに乗る手はあるが、
梯子を外されると終わりだ。右往左往して、
万年強気のストラテジストの言葉等を信じて、
ナンピンを入れたりする。
他人の言動に影響を受けやすい者は、
少なくとも相場の世界では、勝ち組に入ることはないのだろう。
日経平均は木曜日にはリーマン前の高値を抜き、
1万8300円台に入った。
日経平均の来期予想EPSは1300円程度で、
PER15倍として株価は19500円となる。
3月末から決算発表時期の5月初旬には、
2万円に向かう展開も予想される。
今の状況では、18000円台前半で売り向かうのは、
リスクがあるかもしれなかった。
金曜日は三浦と一緒の作業だった。
低PER、低PBRで株式投資を始めたらしい。
「しかし不思議ですね。
 なぜ極端に低いPBR銘柄が放っておかれるのか......」
「業種に魅力がないか、時価総額が低すぎるか、
 IRに消極的か、多分どれかだな」
PBRの低い業種としてはゼネコン、地銀、
あまり注目されない機械系や材料系等がある。

「業種は分かります」
「でも、業種に魅力がなくても、再編で注目される可能性はあるな」
地銀等はそうだろう。
元々地方の銀行は多すぎるとの指摘があり、
経営統合が徐々に進んでいる。
有力地銀が弱小地銀を飲み込むケースも見られる。
「時価総額が低いと、買い手が付かないのですか」
「100億円以下だと機関投資家が買いづらい。
 出来高が少ない銘柄には、投信や外人は手を出さないよ」
実際に、時価総額が20-30億円の銘柄で、
彼らのシェアが高い銘柄はほとんど存在しない。
「確かに、いくらPBRが低くても、見向きもされていないようですね」
スマホで銘柄をチェックしながら言った。
「オプションはどうですか。ヘッジに使いたいと思うんですが」
「急落ヘッジは、期近のクズPUT買いから始めると良いんじゃないか」
「理論も勉強すべきですかね」
「ああ、EXCELに計算式を組み込んで、
 シミュレーションできるようになることだな」
「週末にやってみますよ」
「過去のボラティリティは、大証や人気ブログに出てるよ。
 大阪大学の金融センターのHPも参考になる」
「家で見てみますよ」
オプションはEXCELでのデータ検証と、シミュレーションが欠かせない。
過去の経験がモノを言うので、初心者がいきなりSSを組んだり、
大外PUTを何枚も売るのは、まず勧められない。
「最初は、OTMの短期売買から慣れることさ」
「ヘッジだと、外側のPUT買いやCALL売りということですね」


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by nkmrnkmr | 2015-02-27 11:02 | オプション小説
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