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「ザ・外こもりトレーダー2013」第2章(3)

第2章「アベノミクス(3)」

本屋をのぞくと、アベノミクスについての書籍が溢れている。
株価が2万円というものから、日本が破滅するというものまで様々だ。
タイトルと著者を眺めて気づくのは、専門家でもなさそうな人間が、
注目を集めそうなタイトルで、軽薄な内容に終始しているものがある。
ちょっと名の売れた自称専門家が、大した経験もないのに、
株価についてあれこれ解説するのは笑止といって良い。
彼らの目標はいかに本を売って印税を稼ぎ、高額講演につなげるかで、
中身については二の次なのだろう。
もちろん、読むに値する書籍も多数あるので、
選別すべきなのは言うまでもない。また、注意したいのは、
明らかに政府側の立場の人間による、アベノミクス賞賛の書籍である。
昔から今まで、権力に擦り寄る学者は非常に多い。
各種委員会のポストに就いて、名を売ると同時に、
大学に補助金を取り寄せ、更なる出世を狙う連中である。
曲学阿世という言葉があるが、まさにこういった連中を指す。
電力会社のお抱え学者等は、典型的といえるだろう。
政府のポストに就いて、有頂天になっている学者の言うことは、
話半分に聞く方が良いだろう。このあたりは株の専門家も同様で、
下げれば不安要因をくどくど述べ、上がれば買い材料をはやし立てる。
証券会社に属していれば、株や投信・外債の手数料が生命線なので、
下がりそうだとか、円高が続くとは客を前にして言いづらい。
下がると言って外れると、営業体から袋叩きにあい、昇進に響いてしまう。

日銀の新体制が決まった。
総裁は、旧大蔵省出身でアジア開発銀行総裁の黒田氏である。
何年か前、経済記事で大学まで同窓だった元住銀常務の話がでていた。
「同級生の黒田は、中学時代に図書館の本を全部読んだ逸話がある。
 高校・大学と全くかなわなかった。就職してまで比べられるのは勘弁
 してくれと考えて、都銀に入った」
この都銀役員も、あの米GSへの出資をまとめた実力者である。
GSが上場した時の住銀の利益は数千億円にも上った。
黒田氏は、大蔵省では意外にも主流畑ではなく、次官になっていないが、
主要ポストの一つアジア開銀トップになった。
通貨マフィアとしての実績もあり、国際的に人脈も広い。
いかにも安倍首相が好みそうなスマートな人物だが、
果たして大きな実績を上げられるかどうか、世界中が注目している。
「しかし、舵取りは相当難しい......」
大規模な国債購入で、円安・株高に持ってゆくのは難しくない。
問題はその先で、円安が行き過ぎると、
輸入物価の高騰を招き、最終的にトリプル安を招きかねない。
ガソリン、食品は既に上昇しているが、ここから更に2-3割も上がれば、
国民生活は確実に苦しくなり、大きな批判も出てくるだろう。
逆に、市場の予想よりも小規模な緩和になれば、
失望売りが殺到して円高・株安に振れてしまう。
いかに市場の期待を裏切らず、95-100円程度にドル円相場を安定させ、
株価の先高感を持たせ続けることができるか、
市場関係者は固唾を飲んで初回の日銀会合を迎えることになる。

3/8米国雇用統計の発表日となった。
既に日経平均は12000円を突破、発表前に12200円台に入っていた。
PCの前に座り、RADIKOのサイトでラジオNIKKEIを選択した。
今ではネットでラジオ放送が聴ける。金曜日夜の10:30からは、
伊藤洋一のRoundUpWorkdNowという番組がある。
同氏は、為替相場では日本でも有数の存在であり、切り口は鋭い。
予定が入っていない週末は、この番組を聴きながら相場に向かっている。
今回の2月の雇用統計は、失業率7.7%(予想7.9%)、
非農業部門就業者数23.6万人(予想16.5万人)と、強い数値となった。
発表後、一気にドル高・株高に振れた。
ドル円は96円台、先物6月限は12400円近くまで上昇した。
しかし、その後が続かない。「ほぼ、織り込んでいたか......」
日中、Fリテイリングに絡んだ急騰もあり、高値警戒感もあっただろうし、
1月就業者数が3.8万人下方修正されたことも、伸び悩みの要因か。
「Fリテイリングは、1日で11%も上がったのか......」
時価総額が3兆円を突破し、日経平均の構成比率が最も高い銘柄が、
たった1日で11%も上げるとは信じられなかった。
「短期筋の仕掛けだな......」
このような動きは、過去にも何度かあった。
TOPIXと比べると、日経平均の構成はいびつである。
首位はFリテイリングで1銘柄で10%。
逆のケースでは、三菱UFJはTOPIXの構成比率2.8%に対して、
日経平均の構成比率はわずかに0.2%でしかない。

日経平均構成比率(3/29 AM10:25)
コード 社名 構成比率
9983Fリテイリング9.9%
6954ファナック4.8%
9984ソフトバンク4.3%
6971京セラ2.9%
7267ホンダ2.4%
4063信越化学工業2.1%
7751キヤノン1.7%
4502武田薬品工業1.7%
4503アステラス製薬1.6%
7203トヨタ自動車1.6%
9735セコム1.6%
8035東京エレク1.4%
4523エーザイ1.4%
4543テルモ1.3%
6902デンソー1.3%
9433KDDI1.3%
6367ダイキン工業1.2%
8830住友不動産1.2%
6762TDK1.1%
5108ブリヂストン1.0%
9613NTTデータ1.0%


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by nkmrnkmr | 2013-03-29 11:45 | オプション小説

雑感~米国は引けにかけて持ち直し...

昨夜は、イタリア国債入札が不調で、
イタリア株は一時2%の大幅安となった。
米国も100ドル安で始まったが、
引けにかけて持ち直し-34ドルで終了。

ドル円は94円、ユーロ円も120円を割込む勢いで、
木曜日の株価が懸念されたが、何とか持ち直した。

キプロスの預金課税が、市場を不安にしている。
今後の金融政策にも適用される可能性が残り、
イタリア、スペインの一部銀行から預金が逃げる可能性も。

今週で3月の取引は終了となるが、
ここ3年は、4月から5月にかけて崩れている。
ヘッジファンドの5月中間決算の影響もある。
時期的に、次週から売りも出てきそうな雰囲気。

本日は、ESよりは高いものの神経質な展開か。
欧州問題が当面くすぶり続けるため、
12500円を超えて大きく上昇する可能性は低そう。
一方、日銀会合への期待が強いため下値も限定か。

4call外側がATMに比べて剥げ落ちてきたが、
次週のイベント前では、やや弱すぎる感もある。
ゼロコスト近くで組めれば、-1×3コールバックも。


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by nkmrnkmr | 2013-03-28 07:04 | 雑感

雑感~日銀会合待ちか......

昨夜の米国市場は、ダウ14560と再び高値へ。
ケースシラー指数の上昇を見ると、
住宅価格は完全に底打ち、上昇の局面へ。
銀行融資も伸び、再び不動産バブルに進むのか。

一方で、キプロスや北朝鮮問題は、
リスクオンの動きに不安も投げかけている。
何も起こらない内は、影響も限定されるのだが。

本日も、配当落ち分も埋めそうな動き。
REITは相変わらず買いが旺盛で、
利回りも大分低くなってきた。

10年国債利回りが0.5%台では、
4%前後の利回りは確かに魅力がある。
価値が上がれば、2006-2007年のように
転売利益で分配金が嵩上げされる期待も。

先物は売り買い交錯の状況。
次週の日銀会合への期待は強いが、
出そうな政策は日経等で報道済みでもあり、
サプライズが出ないと13000到達は厳しいか。

仮に何か出て13000に到達したとして、
次に動きが出るのは、少なくとも2ヵ月後か。
とすれば、5C大外は売りが正解だろう。

日経市場欄では、信用買い増加の記事。
タイミング的にはどうかと思うが、
上がらなければ、9月後半に投売りが殺到
ということにもなりかねない。


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by nkmrnkmr | 2013-03-27 10:52 | 雑感

雑感~キプロス支援策の評価は...

昨夜の米国市場はプラスで始まったが、
キプロス解決策に大口預金への課税が適用、
今後のユーロ圏債務問題にも導入される
との不安から、NYダウは-64ドルで終了。

為替市場でもリスク回避の円高が進み、
ドル円94円、ユーロ円121円まで進んだ。

今回のキプロス支援策は、
ユーロ圏の銀行の資本規制強化の方向。
とすれば、自己資本強化、リスク資産軽減から
直ぐにリスク資産が売られることはないとしても、
投資マネーは縮小方向となる。

本日は、6月限は12300円台から開始したが、
若干円安に振れていることや配当取りもあり、
10:15現在12470円まで上がってきた。
次週の日銀会合への期待も強い。

キプロス問題は、当面の資金繰りは一服も、
将来的には、無事に終わりそうにない。
イタリアのように与党の敗北とポピュリズムの台頭で
国内情勢は相当不安定になりそう。

地政学的に確保しておきたいユーロ側と、
キプロス島全土を傘下におきたいトルコ、
衛星国としたいロシアの三つ巴の争いか。

元々バルカン半島からイスラエル周辺まで
民族問題だけでなく、宗教問題もからみ、
有史以来、紛争の歴史といっても良い。
同国は今後、大混乱に陥る可能性が高そう。


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by nkmrnkmr | 2013-03-26 10:47 | 雑感

雑感~今のところ楽観ムード...

週末の米国市場は、再び14500台乗せ。
キプロス問題への楽観ムードも台頭した。
一時12200円台まで売られた先物も反発。

本日は、朝方キプロス大統領とEUが
支援策で大筋合意との報道もあり、
ドル円95円付近、ユーロ円123円後半に上昇。

10時現在、若干円高に振れたことで、
先物は12440円、ドル円94.80付近。
相場は反発したが、週末に盛り上がった
OTMcallは、本日は全く伸びず。

キプロス問題がソフトランディングで落ち着けば、
次週の日銀会合に向けて買い優勢の展開か。
紆余曲折の可能性も残りそうだが...

REITの買いが止まらない。
四季報で高利回りがうたわれている
JHR、MIDREITあたりも、3/15の発売日以降
凄まじい勢いで買われてきた。

日銀新体制で、残存の長い国債買いが進み、
既に0.6%の10年債利回りは更に下がりそう。
まだ利回り4%以上のREITは存在するが、
近いうちに消えてしまうだろう。


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by nkmrnkmr | 2013-03-25 10:10 | 雑感

雑感~キプロス不安継続か...

昨夜の欧米市場は下落、為替も円高へ。
キプロス問題では、銀行の流動性枯渇懸念も。
ドル円は一時94円台、ユーロ円も122円台へ。

ESでは先物が12600円台に乗ったが、
夜間にかけて12500円を割り込んできた。
日銀新体制の報道会見はインパクトなし。
ということは、ある程度織り込み済みか。

本日は、先物にまとまった売りが出て、
一時12400円を割り込んだ。
輸出株が安く日経は1.2%安、TOPIXは-0.8%で
-1%まで下がれば午後に日銀買いが出る。

IVは上昇。キプロス情勢不透明で、
ガンマ・ベガショートにも傾けづらいか。

ロシアからのマネロン絡みの預金が巨額で、
EU、ECBもキプロスの銀行に対し無条件に
流動性を供給する可能性は低そうだ。

今のところは、為替の反応も限定的で、
市場には楽観ムードが支配的のようだが...


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by nkmrnkmr | 2013-03-22 09:59 | 雑感

雑感~FOMC声明で高値更新......

昨夜の米国市場は、FOMC声明で、
緩和姿勢継続が確認されたことで、
NYダウは再び14500の大台を突破した。
相変わらず、バーナンキの表現は上手い。

欧州市場も、ECBがキプロスに資金供給する
方針を示したことで、ユーロが急反発した。
南欧株価も大きく反発した。

本日は海外市場の好転から上値を追う動き。
ドル円が96円台からやや円高に振れたことで、
日経6月限は12500円半ばの膠着となっている。

注目される日銀の新体制だが、
パリバの見解では、臨時会合無しとの見通し。
しかし、来月初旬の第一回会合では、
大掛かりな緩和が実施されると予想。

市場も、前のめりに動いている印象で、
不動産系では2007年レベルまで戻った銘柄も。
果たして、13000円突破まで行くかどうか...


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by nkmrnkmr | 2013-03-21 10:27 | 雑感

雑感~キプロス救済策は劇薬......

昨夜の米国市場は小幅の下落。
キプロス問題から金融株中心に売られた。
欧州市場は大幅安から徐々に下げ幅を縮めた。
為替は、徐々に円安に反転する動き。

欧州株が戻り歩調となるにつれ、
ESでは、日経も12300円台まで戻ってきた。
本日は、ドル円95.50、ユーロ円123.75まで上昇、
日経6月も12400円台まで反発している。

不動産関連、REITの戻りも大きく、
昨日の急落が嘘のような強さとなった。
あまりに楽観過ぎる気もするのだが...

JPM、N証券のキプロス関係の資料を読むと、
預金への課税は過去に例のない劇薬とのこと。
ギリシャ等周辺国への影響は避けられず、
ここ数日は、予断を許さないようだ。


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by nkmrnkmr | 2013-03-19 09:58 | 雑感

雑感~難解な一週間始まる......

週末の米国市場は小幅の下落。
ミシガン大の消費者信頼感指数が予想を下回った。
ドル円は95円台前半まで1円程度下落。

更に以前から言われていたキプロス支援策が出た。
預金に対して一定の税率をかけるというもので、
同国の預金者は大混乱となっている模様。

キプロスはギリシャの影響も強く、
政策(税制など)はギリシャに輪をかけて不安定。
経済規模も小さく、影響も限られることで、
かなり厳しい措置がとられたか。

本日は、12200円台まで下落したが、
今週は日銀新体制もスタートする事で、
期待と不安で一喜一憂する不安定な展開か。
週末とは一変、IVも上昇してきた。

可能性は低そうだが、日銀が臨時会合を開き、
大規模緩和を実施するという話も出ている。
4月初旬まで待っても何ら問題なさそうだが、
証券系からは、こういった話が出やすい。

仮に、意表をつく形で大規模緩和をやると、
円安・株高に振れるとしても、国債市場が
大きなダメージを受ける可能性もある。

財務省は、国債のクーポンが上がることを
何よりも恐れており、同省出身の黒田氏は
そのあたりは百も承知と思うのだが...

欧州、日銀と材料によっては、
上下に激しく動きそうなだけに、ガンマ、
ベガショートには厳しい週となりそうだ。


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by nkmrnkmr | 2013-03-18 09:55 | 雑感

「ザ・外こもりトレーダー2013」第2章(2)

第2章「アベノミクス(2)」

2月のSQ日になった。
日経平均は1月最終週に11000円を突破、
ドル円は93円台に上昇してきた。株式市場は、連日の活況である。
市場が商いを伴って上昇すると、最も恩恵を受けるのが証券株だ。
200円台で低迷していた野村は既に500円台、
中小の証券株も軒並み2倍に急騰している。
リーマンショック後、長い間不況に喘いだ証券業界にとって、
2007年の前半以来となる大相場の到来である。
業績が良い時には、証券マンは皆浮かれている。
ボーナスは上がるし、苦労しなくても客は向こうからくる。
接待費も使うことが出来る。
「これで、リストラは当分無しだ...」というのが、
あまり成績の良くない管理職の本音だろう。
ネット証券の台頭で、証券界は激変してきた。
個人客の8割以上がネットに流れ、
対面中心の証券会社の稼ぎ頭は、投信や外債の販売となった。
今では、準大手・中小証券の大部分は、
投信手数料が株式手数料の2倍から3倍となっている。
投信については、実はネットと対面ではさほどの違いはない。
一部の投信でネット経由はノーロード(手数料が無料)もあるが、
信託報酬(年間一律でかかる管理コスト)は変わらない。
コスト面で差がない以上、客としても
説明を受けながら判断できる利点もある。
「しかし、証券マンをウザいと思う客も多いからな...」
手数料しか頭にない証券マンは、客に取引させることしか考えない。
相場が良くなると必ず、銘柄の入れ替えや
他の商品の購入を勧めてくる。

かつて証券会社に勤めていた、友人の仲原から電話があった。
「大館さん、久しぶりだな」
「最近の証券株はすごいね。全く収益力のない証券株でも、
 株価が暴騰しているもんな」
「一部上場とは名ばかりの、○○証券とかそうだな。
 多分、内情まで見ない個人投資家が信用なんかで
 大量に買ってんだろう」
「こんなのは、いずれ落ちてくるね」
「リーマン前も、最初に天井をつけたのは証券だったよ」
「個人は決算短信は見ないのかね」
「四季報とネットの情報くらいだろう。PERやPBRも
 表示されてる数字くらいで、特別損益や潜在株、資産の含み損益
 まで含めて再計算してれば上級者だな」
「PERも色々定義があるんだろう」
「今出ているのは、多分今期の予想利益がベースだよ」
「ということは、3Qの途中からと4Q予想が上振れで、
 上期の悪い数字も含まれているのか」
「証券アナリストのレポートは、来期の予想PERまで含めて
 推奨するからね。画面に出ている今期のPERが高くても、
 必ずしも割高ではないよ」
「確かにそうだね」
「特に、今期の予想利益は1-3Qの特別損益の影響が
 大きい企業もあるからな」
「有価証券売却益だろう」
「今期はそうだな。パナソニックあたりは繰延税金資産の
 取り崩しによる巨額の特損も大きかったな」
「PERは、特別損益を除外して考えるべきなんだろう」
「そうだな。キャッシュフローベースの方がベターか」
「EV/EBITDAも流行の一つみたいだね」
「アナリストによっては、これをベースに判断する者もいるよ」

「でも、計算が難解なんだろう」
「EVは、時価総額に有利子負債を加えて、
 現預金を差し引いたものだよ」
「なるほど」
「EBITDAは、文字通り税引前利益から利払い、減価償却、
 のれん償却等のノンキャッシュ項目を差し戻したものだ」
「細かい勘定科目の議論は残りそうだが...」
「その通り。米国のワールドコムが破綻した時、
 EBITDAを水増しして株価を割安に見せようとしていたよ」
「数字を信じるのも考えもんだな...」
「まあ、指標は自分で納得するものを使うべきだろうな」
2月のSQ値は、11150円付近まで大きく下に突っ込んだ。
上昇局面では先物主導のケースが多く、
先物売り現物買いの裁定が溜まりやすい。
SQ日の決済では、先物は差金決済のため何もする必要がなく、
現物株は寄付きでの売りとなる。
以前は3,6,9,12月のメジャーSQが注目されたが、
ミニ先物が活況の今日では、5円刻みのミニ先物を使う方が有利だ。
鞘を稼ぐ裁定取引では5円の価格差は大きい。
相場は、11100円台まで突っ込んだ後、
しばらくの間ボックス圏となった。
2月末には日銀人事が控えている。
誰を総裁にするのか?市場では、
競馬予想のような◎○▲△のついたリストまで出回っている。
マスコミによると、本命は元大蔵事務次官で、
日銀副総裁まで務めた武藤氏らしい。
「多分、違うな......」
前の安倍政権では、最後には政府と官僚の間がぎくしゃくした。
官僚の頂点は旧大蔵省で、その元トップが総裁になると、
影響が一段と大きくなる。いうまでもなく、
今の政権は経済産業省の影響が強い。

2月後半、千葉県内の日帰り温泉に行った。
といっても湾岸沿いの人口温泉で、
ホテルの部屋半日と昼食が付いている。
連れがエステに行っている間、司馬遼太郎の「徳川慶喜」を読んだ。
知能に優れ”家康以来の傑物”との評だが、
貴族育ちで諦めが早いのが欠点だろう。
その慶喜が、日本中から期待された時期がある。
勤皇で有名な水戸徳川家出身ということで、幕府内の改革派、
日本中の尊皇攘夷武士、外様大名から絶大な人気があった。
しかし、大多数の者は直接話したこともなく、
噂やイメージで人気が膨らんだに過ぎない。
先行きが見通せない時代には、人はとかくヒーローを求めたがる。
今の橋本大阪市長、安倍首相にしても世間はそうなのだろう。
安倍新政権は、米国経済回復やユーロ不安一服も重なり、
稀に見る幸運なスタートとなった。
円安・株高が進んだ今は、経済界も全て応援団になってしまった。
政府も調子に乗ったのか「賃上げせよ!」と要請まで出てきた。
「業種によっては、円安で減益になるのだが......」
企業側は「一時金で対応する」としか言えないだろう。
今年は、世界的に株高が進んではいるが、経済成長率は低く、
先進国の緩和バブルで踊っているに過ぎない。
今の段階でベースアップ等とんでもない、
というのが経営者の本音だろう。
慶喜の話に戻るが、将軍職についた後、
徐々に怨嗟の対象に変わっていく。
大政奉還後は賊軍となり、様々な悲劇を引き起こすことになった。
イメージ先行の指導者に対し、世評は急変しやすい。


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by nkmrnkmr | 2013-03-15 10:56 | オプション小説